ケーススタディ

お客様:株式会社日能研関東 代表取締役社長 小嶋隆さん 担当コーチ:芳地 一也

お客様:株式会社日能研関東 代表取締役社長 小嶋隆さん 担当コーチ:芳地 一也

設立:1973年4月 従業員数: 375名(日能研関東グループ合計) 売上高:122億2,800万円 (2011年4月期 グループ合計)事業内容:中学受験専門予備校の教室運営業務全般および関連事業を展開している。 導入年月:2012年4月

Q:今回2社合同でセッションされた経緯をお聞かせください。

インタビュー写真001
伊藤社長

伊倉社長:きっかけは伊藤さんですね。
伊藤社長:もともと芳地さんがグロービスで先生をされていたときからのご縁です。 芳地さん主催の交流会に参加したり、自分も独立したりする中で、同年代の経営者の仲間が集まったときに、やってもらえないだろうか、という話が出てきました。
弊社は大きい会社ではないので、おそれ多いと思っていました。 ただ何社か集まれば費用的な負担も少なくなるだろうし、伊倉さんの会社がどんなことをされているのか気になって、芳地さんに相談をお願いしたところ快諾していただけました。

Q:導入する前、それぞれの会社の課題はどのようなものでしたか? 導入前のゴールはどのように描いていましたか?

インタビュー写真001
伊倉社長

伊藤社長:導入前に芳地さんにいわれて胸に響いた言葉があります。「そこそこうまくいっている、という失敗をおかしている」と。たしかに売上も社員も順調に増えていましたが、「このまま10年、20年経ったらどうなるのか?」という漠然とした不安を抱えていました。どこかで「ジャンプアップ、ブレークスルーをおこさないといけない。きっかけをどこかで掴まないといけない」とは思っていたので、いいタイミングでしたね。「会社の成長グラフの上がり方、角度をグッとあげる」というゴール意識をもって臨ませていただきました。


芳地:「そこそこうまくいっている」のは一つの罠です。うまくいってないとき「現状を変えよう」と思っているときはいろいろ工夫をします。「そこそこうまくいっている」状況だと、今までのやり方を変えずに惰性でやってしまうことが多い。経営をさらにいいものにしていく上ではマイナスに作用します。


伊倉社長:状況的には同じで、僕らも下火の業界ではありながら順調に成長してきました。今までは、トップダウンでものごとが決まっていたのです。組織のモチベーションも、僕がコントロールしてきました。「もっと社員それぞれに責任感を持ってもらいたい」という不満を持っていたので、何か変えなくてはいけないと思ったときに良いきっかけになったんです。

Q:芳地さんは合同でのセッションで、どういったアプローチを行いましたか?

インタビュー写真003

芳地:お二人とも若くて、やる気もある優秀な経営者で、これから会社を伸ばしていこうという段階です。異業種とはいえ、お互いがどういう問題を抱えていて、どこを目指しているか、刺激し合える関係だと思いました。交流会などで普段のお付き合いがあったとしても、改めて経営上の問題など深い部分について話し合うことはないでしょう。話し合うことは大きな気づきになると思いました。
それぞれ2社とも従業員が多くないので、1回目で目標を握ると社長がどこまでやるのか、というステージになります。10人前後の会社だと、社長が何を発言してどのように行動するかがポイントになります。初回は2社合同で11人でやりましたが、2回目からは一部の幹部の方のみ3人で行いました。

Q:実際やってみて、お二人はどのような印象を受けましたか?
  社員の方の最初の反応は?

インタビュー写真005

伊藤社長:緊張感をもって社員と話すことができました。1日目(day1)が終わったあと、社員の鼻息、テンションがグワッと上がりましたね(笑)。普段心の中にためていたことを改めて話せた。改めて話しをして解決策まで自分で導き出す、その過程が刺激的だったようです。その後会社の温度感が変わりました。

インタビュー写真003

伊倉社長:弊社の場合はまず、理解できてないのが多かったかな。「何のためにこれをやっているのか、社長が儲けのためにやっているのでは?」という気持ちがどこかにあったと思います。

伊藤社長:弊社も一日作業をとめて皆で参加するという不満というか、不安があったようです。月末の忙しい時期で、お客様にも融通をつけてもらっていました。

伊倉社長:1日目に参加をして、社員は「それぞれのことは自分に責任がある」ということを考えてくれたようです。あの1日はものすごくインパクトがありましたね。

伊藤社長:「向こう(伊倉社長のチーム)の立てた目標、こんなこと言ってますけれど、僕たちはこんなんでいいんですか、負けてもいいんですか!」なんて言われました(笑)。

Q: 芳地さんは1日目の後、どんな印象を持たれましたか?

インタビュー写真006

芳地:社員皆それぞれ思うところがいろいろあって、小さい会社でも意外と腹を割って話すことが少ないんだなと改めて思いました。話すことが無いわけではなくて、言う機会がなかっただけ。話す機会を与えられると、どんな人でも出てくるものです。違う会社と一緒だったので、もしかしたらいつもより本音が言いにくいかな?と思ったんですが、案外そうでもなかったです。

Q:スタートをしてみて、導入後の社員たちは変わりましたか?

インタビュー写真011

伊倉社長:今まで社員も私もそれぞれに目標設定をしていなかったわけではないんです。目標に対して自分が達成するかどうかの責任感を持っていなかったのです。導入後は皆が皆それぞれの目標を共有して、それを達成するために自分が努力しなければ、という責任感が芽生えたのが大きな効果でした


伊藤社長:当社も伊倉社長と同様です。その他の部分でいうと社内での情報共有を実は今までしていなかったんです。情報共有によって、人が増えたわけではないのに業務量や成果が1.5〜2倍になったことが大きかったです。会社の温度感が3割増しになったようです。モチベーションがあがって社内の居心地がいいですね。一方、自然とタスクが増えてくるので、それをこなすのが大変かな。「このままもっとやっていかないといけない!」というプレッシャーがある感じです。

Q:短期間で導入した効果が出たようですね。

インタビュー写真011

伊倉社長:todoリストは出ていたんですが、以前はそれすら進まない状況でした。導入後、ストレッチした目標、ストレッチしたコミットメントを立ててみると「todoリストは当たり前にやらないとダメじゃないか?」という感じに社員間の話がありました。

伊藤社長:忙しいからtodoリストをこなすのは当たり前だ、というのは当社にもありましたね。日々のやらなくてはいけないことが小さく見えてきますからね。

Q:成果を導き出すために芳地さんが工夫したことはありますか?

芳地:いつも通り普通にやっていただけなんですが(笑)。特に意図してなかったですね。「日々の業務が小さく見えてちゃんとできるようになった」という感想を初めてお聞きして、嬉しい副作用です。今までのやり方では達成できない高い目標をたてて、今までの業務のやり方を変革すること。これはある意味、社長しかできない。特に小さい会社で業務変革できるのは社長しかいないんです。おそらく従業員の方は社長に指示されたことを淡々とやるだけ。多かれ少なかれ、中小企業はそんな感じだと思います
その中で社員自身が「自分の持ち場でどうやったら、どんな成果がでるのか」を考え始めたことが、大きな一歩です。「自分が何をして、どんな成果を得るか」を作るのがコミットメントリスト。これを作成することで日々やっている仕事がどのように売上や利益にくっつくか、というイメージが湧いてくるんです。


伊藤社長:受ける前はすごく変わる、大きな事を成し遂げないといけないと思っていました。 実際は小さなタスクがワーッとでてきて、まずはそれをこなしていくことが会社に大きな変化をもたらす。やってみてそう思いました。 やってみて、いつもの延長しかできないというプレッシャーは日々感じていました。しかし見逃していたタスクを皆で取り組むことで同じ人数で1.5倍くらいの作業量をこなせる人も出てきた、同じ人数で1.5倍くらいの作業量をこなせる人も出てきたのです。すごく大きな成果だと思いました。


芳地:気をつけていたことは、小さな企業における日々の業務です。10人くらいの企業の場合で仕事についてのマニュアルがあるわけではない。口伝えなので業務の仕組みがかたまっていなかったり、非効率な部分がたくさんあったり、こだわり加減が人によってさまざまだったりして、業務が可視化されていない。「目標をこう立てました」といっても、目標に至るまでにどうするかではなくて、目の前の出来ることをやって時間がきたら帰るとか、今日の仕事が終われば家に帰る、とか。目先の仕事で1日が終わることが小さい会社には多いので、日々の業務の基本を意識して入れるようにしました。「こういうふうに進めた方がいいだろう」とか、「こういう仕組みがあった方が毎月の売上、利益の目標を追いやすいのではないか」とか。

Q:やり方は、社員の方にも浸透しましたか?

伊倉社長:弊社は役割分担をあまりやったことがなかったんです。そこで役割分担をしながら、見える化をはじめていきました。担当者をつけて作業をすることもなかったので、社員が自ら意識してやっていこうという文化も芽生えたと思います。見える化もやり始めてから進めていきました。これまでは、何となく今までは僕が思いつきで「見える化」を貼り付けていたけれど、改めて非常に必要なことだと実感しました。個々がKPIを追いかけていくときに、貼り出すという作業がすごく大事だと思いました。


伊藤社長:そうですね、マニュアルを作成することも非常に大きな成果で、社員も勉強になっていたようです。


芳地:組織が小さいと社長が全部を見渡せるので、仕組み化しなくてもコントロール出来ているように見えるんですよね。しかし社長がいないときうまく動いているかどうかは別問題。役割分担もお互いに小さい組織だとフォローし合える関係になりますが、一方で責任感がわかりにくくなりがちです。〇〇部〇〇係〇〇担当とあると、何となく自分の役割がわかるけれども、小さな組織で助け合ってやっていると不明確になりやすいです。 おふたりには、どんな小さな改善をしたか、一日一つを作って僕に送ってもらったんですよ。それを僕たち3人(伊藤社長・伊倉社長・芳地)で共有しました。会社で何か一つ改善!一日一改善!あれは、どうでした?


伊倉社長:あれ、面白かったですよ!プレッシャーはありましたけど、ね。


芳地:面白いことをやってるな、とおふたりからくる報告を毎日みてました。


伊藤社長:社員を巻き込んで「何かねえか?」という感じで。「これやってみようよ」とか背伸びしてみたり。


芳地:小さい大きい関わりなく、人って慣れ親しんだものを手放すことをやりたくない動物なんです。新しいやり方を入れると一瞬非効率、一瞬大変になります。慣れてくると今までのやり方より良くなってくるのですが、中小企業の社長って、僕も含めて叱ってくれたり命令してくれる人がいないのではないでしょうか。そうなると現状のままでいいという方向に引っ張られる傾向が出てくる。僕との約束の中で「一日一改善して証拠を送ってくれ!」というのは二人にとってはドライバーになったんじゃないでしょうか……。


伊藤社長:そうですね、ケツ叩かれる感がハンパなかったですね(笑)。ボクシングのトレーナーのような、そういう存在がいるのといないのとでは違う。


伊倉社長:どれだけ普段さぼっていたか(苦笑)。

Q:導入後、ご自身の中で大きく変わったことはありますか?

インタビュー写真012

伊藤社長:当社は廃棄物の回収なので朝が早いのです。僕はどちらかというと朝7時の朝礼は行かなくていいだろうと思っていました。しかし毎日朝礼に参加するようになりました。社員も社長に見られている意識があります。



伊倉社長:なんとなく「会社を良くしたい」「社員を幸せにしたい」と思って経営していましたが、どこかで自分が社員をコントロール出来ると思っていた一面もありました。うまくいかないと社員のせいだと思ってしまっていました。一方で、何か仕組みを取り入れれば、僕の手から離れて会社が回るんじゃないか?という気持ちもあったんです。でもだんだん回を重ねるごとに「これは自分の意識がたりないな」というふうに考えるようになりました。社員に押し付けてやらせるのではなくて、自分がしっかり意識をもたないといけないことを業務管理などすべての面で痛感しました。


Q:芳地さん、2社がどんどん変わって行く様子をみて、どう感じられましたか?

インタビュー写真006

芳地:面白いな、と思いましたよ。もちろん、うまくいくことも、うまくいかないこともありますが、先程のように社長自身を律するものってあんまり無い。でも1ヶ月後「次に会うまでにこういう成果出します!」と約束して、その日付が近づいてくるとそれなりにプレッシャーになるようです。 今回いつもと違ったのは、Day2(2日目)以降が基本的に社長とのコーチの場になることでした。通常はメンバー集めて目標と計画を作り、進めていくんです。今回は社長コーチング(もしくは+幹部1名)で進めた初めてのケースです。

Q:導入してみて、会社における成果はありましたか?具体的な数値でもよいですし、社内がこんなふうに変わったことでも良いので教えてください。

インタビュー写真017

伊倉社長:うちは目標の数字的には遠い感じです。厳しい状況にぶち当たっていますが、成長のために社員とやったことは、タスクを上乗せすることでした。今までは目標を達成できないことが多かったのですが、思いっきりストレッチした目標を立てたことで「達成できる」いう雰囲気が社員の中からも出ています。

伊藤社長:前年対費2倍は届きませんでしたが、先月は140%、2月は135%で動いています。売上が上がったということよりも、人を増やさずしてその売上ができたり、広告費を下げているのにその仕事がとれたりと、細かい施策が成果を出しているので中身が濃い。またネガティブ発言の愚痴の場がゼロになっています。発言するなら必ず建設的な意見を言わないという感じでこれまでの「なんとか〇〇ならないですかね?」が「社長、提案があります!」となりました。

Q:芳地さんは2社のセッションを手がけ、どのような手応えを感じられましたか?

芳地:「こういう形もできるな」というのと、小規模な組織・会社に対して「貢献出来ることはいっぱいあるな」ということを実感しました。お二人が日本や業界を代表するポジションにどう飛躍的に成長していくかが楽しみです。それぞれ、業界の覇者がいない業界じゃないですか。構造的に難しい事はあると思うんですが、何か今までと違うアプローチができる可能性が残されています。

Q芳地さんの印象をお聞かせください。

インタビュー写真017

伊藤社長:私は付き合いが長いので、いい意味で「いい人じゃない」と思います(笑)。定期的に突き刺してくるというか、痛いところをいじってくるというか。昔からそうで、いい人で終わらないところがすごく魅力。あまり他の人はないですよね。

芳地:コーチでいい人っていわれると「向いてないんじゃないの?」と言われるんです。

伊倉社長:お仕事をされて、たくさんの業種を見られているので、やはり引き出しは多いなと思いました。

Q:どんな経営者に、芳地さんをおすすめしますか?

インタビュー写真006

伊倉社長:僕や伊藤社長と同じく、そこそこうまくいってるんだけど、これから成長するためには、もう一つインパクトが必要な人がマッチするんじゃないかなと思う。 僕は学生時代に父親の仕事を継いでいるので、ビジネスの流れや経営、会社の流れを自分でいろんなセミナーを受けたり、経営者の勉強をしてきましたが、「あっ、こうやって仕事を進めるんだな」という基本形が見られました。応用なようで基本でした。こうしたことを会社に取り入れられていない、動いていない会社にはぜひおすすめです。


伊藤社長:「自分が何をしたいのか、どこまでいきたいのか?」を問われた気がしました。僕の場合、全然対比で少しずつ伸びているけど、このまま10年、20年たってどうなっていたいのかと考えたときに「それはまずいわ〜」という気持ちになりました。現状を変えたいという経営者にはおすすめです。絶対に今と同じ姿ではいさせてもらえないので(笑)。

インタビューページ

Profile

芳地 一也 / Kazuya Houchi

芳地 一也

  • ブログはこちら
  • プロフィールはこちら
  • メッセージはこちら

twitter

books

クリティカル・シンキング
クリティカル・シンキング集中講座 「問題解決力」を短期間でマスター
芳地 一也(著)

ページトップへ