ケーススタディ

お客様:ニックス株式会社 西澤 秀記社長       担当コーチ:芳地 一也

お客様:ニックス株式会社 西澤 秀記社長       担当コーチ:芳地 一也

電子機器や食品包装材料などのプラスチック製品を、商社部門・製造部門の両輪で国内外に展開するメーカー。西澤秀記社長の「社員と思いを共有し、大きな力で会社を変えたい」との思いから、事業部を横断して導入。社内のプロジェクトを統括するPMO(プロジェクト・マネジメント・オフィサー)や社内コーチを育成し、全社的にフレームワークを浸透させ着実に成果を積み重ねている。

Q:西澤社長、導入前にどのような問題を感じていらっしゃいましたか?

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西澤社長:会社設立から60年以上経つ弊社は、文具や容器・包装材料など、おかげさまで安定した事業があり、15年くらいやっていることがあまり変わっていない状況でした。売上高もこの20年ほど大きくブレることなく、社内全体に大きなインパクトのない「現状維持」というムードだったのです。そこを何とか打開したい思いがありました。

というのも、2009年に社長に就任し「せっかく社長になったのだから、これまでの良いところを踏襲しつつ、自分なりのカラーで会社を変えていきたい」と思っていたからです。とはいえ、私1人の力で会社を変えていくことは難しい。「社員が私の思いに共感して大きな力にならないと会社は変われない」と就任後の1~2年で痛感し、もがいていました。
Q:導入した決め手は?

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西澤社長:きっかけは、2011年夏に開かれた大手銀行の経営者研究会でした。セミナーは冒頭から「遅刻厳禁、遅刻した人は入れません」と厳しかったものの、私自身は学生時代の部活動につながる懐かしさを感じました。一方で受講中は、近年あまり感じることのなかったプレッシャーから「いやだなあ」とも思ったのです。
でも、「いやだなあ」と感じるのは、今までの仕事のやり方や考え方との違いがあるからではと考えたのです。会社を変えるきっかけが欲しいとつねづね思っていましたから、ふだんにない緊張感に面白さを見いだして、受講後のアンケートに連絡先を書きました。初めて芳地さんに出会ったのは、それから半年ほど経った2012年3月のことでした。

Q:導入でどのような成果がありましたか?

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西澤社長:当初は幹部社員だけを対象にするつもりでしたが、それだと「多くの人と思いを共感する」ことにつながらないと考え、各事業部への導入も行っています。そのことで事業部間でのやりとりが活発になり、会社の動きを大局的に捉える視点が社員の中に芽生えたように感じます。
例えば「今までは営業(担当部署)がやっていたことだけど、よく考えたら必ずしも営業がやらなくてもいいよね」とか「この商品だったら、東京(本社)じゃなくて大阪(支社)で扱った方がいいんじゃないか」とか。社内にあった「こうしなきゃいけない」的な空気が変化している実感があります。
それと、提案型で物事を進めるようにギアが変わったのも大きいですね。従来はお客様からのご要望で進める受託型の企画が多かったのですが、導入して、提案型のお見積りというのが以前に比べてずいぶん増えました。少なくとも2割、いやそれ以上に増えているのではないでしょうか。

Q:ご自身が変化を感じたときはどんなときですか?

西澤社長:期日の切り方に対する意識が変わりました。これまでは期限を決めなかったり、決めたとしても、なんとなくの感覚で必要以上の期間を設ける傾向がありました。今では、3日とか1週間という短い期日を設定するようになり、特に理由もなく「1ヵ月ください」とは言いにくい雰囲気になっていますね。
ただ、芳地さんにはよく言われます。「意識が変わっただけでは、会社は何も儲かっていないんですよ」と。何か新しい取り組みを始めると、つい「意識が変わった」と感想を述べてしまいますが、それは禁句だと。話し合ったところで何も生まれていないわけですから、結果を追求することが大事です。その点が今までは甘かったですね。

Q:今後、期待されることは何ですか?

西澤社長:社員1人1人が「自分に対して甘えない、甘えさせない」「ひとランク上の仕事をしたい」「お客様に積極的に提案したい」と自ら動けるような効果を期待しています。
社員が成功体験を一つでも多く得られれば、来期の予算や仕事への取り組み方が非常に前向きになるでしょう。今やっていることを皆が信じて進められれば、来期はもっと大きな目標を掲げ、これまでにない成果を残すことができると確信しています。

Q:芳地さんをおすすめするとしたら、どのような経営者におすすめしますか?

西澤社長:会社の現状に満足できない方や、今までのやり方の延長線上では得られない成果を得たい方におすすめしたいです。私自身、創業者一族の3代目として社長に就任しています。私のような立場の経営者が、自分なりのカラーを打ち出す起点として導入されるのもいいかもしれません。

今までのやり方を否定することから始まるので、ときに「見たくない現実」に向き合う場面もあります。そのために勇気や覚悟もいります。先ほど申し上げた「いやだなあ」を乗り越えられるか否か、ここに成功の鍵があるのではないでしょうか。

Q:おすすめの言葉をいただけますか?

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西澤社長:「精霊を呼んできて、社内の『言ってはいけない真実』を言う」場面があります。弊社の会議でそれをやったところ、「このチームって、実はなくてもいいんじゃない?」という話が出て、別室でそのチームをどう解散するか、という会議が急遽始まってしまった。そのチームの存在意義を、チームメンバーを含めた皆が疑問に思っていたことが明らかになったのです。

こうした改善は、自社での会議だけではありえないことだと思います。「言ってはいけない真実」を私たちに自然に言わせてしまうのが大きな魅力ですね。

PMO 小野 一左さん

PMO 小野 一左さん

Q:始めて、会社にどんな変化がありましたか?

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小野さん:事業部間の壁が取り払われつつあります。その理由を私なりに分析すると、これまでは社員が物事の原因にとらわれていて、結果を見ていなかったではないでしょうか。それが、弊社の経営目標である「夢200」という戦略的フォーカス、つまり「結果」を共有することでよいムードになってきた。プロジェクトの軸足がぶれてきたら「『夢200』ですよね」とキーワードを発することで、話がまとまりやすくなってきた実感があります。

Q:PMOを始めて、小野さんご自身にどのような変化がありましたか?

小野さん:仕事で悩んだときに「自分は何をしたいのだろうか」「どこが着地点なのだろうか」ということを考えるようになりました。会社での活動は、限られた時間の中でいかに成果を最大化するか、ということに焦点が当てられます。自分のキャパシティを超えた仕事量だと感じても、「結果」をシンプルに導き出すことで、いつの間にか自分の器が大きくなっている……そうなれるように努めています。
実は最近、我が家でもやるようになりました。高校受験を控えた子どもとは毎週土曜日に会議をもち、互いに今週1週間の「良かったこと」を付箋に書いて発表するようにしています。子どもは数学が苦手なので、苦手分野克服の手法として戦略的フォーカスも活用しているのですが、「子どもってこういうことを考えていたのか」という私自身の発見にもつながっていますね。

Q:PMOとして、今後どんな成果を出していきたいですか?

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小野さん:会社がよりよいパフォーマンスを出せるよう適切なかたちで社員に仕事を渡す、というPMOのいちばんの役割がまだまだ達成できていません。まずはその成果をきちんと出すことが自分の課題です。
フレームワーク、つまり、ネガティブな意見を転換する「どのようにすれば~できるか」の考え方を末端まで浸透させることも自分の大きな役割ですね。そのために、社員の気持ちの盛り上げ方、フレームワークの伝え方を自分なりに把握していきたいと考えています。

社内コーチ 柳沼 和也さん

社内コーチ 柳沼 和也さん

Q:始めて会社にどんな変化がありましたか?

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柳沼さん:会議での発言の質が変わったことを実感しています。導入前は、会議で「え、できないよ」とか「でも、やらないといけないんでしょう?」という発言をされるケースがけっこうあったのです。そういう後ろ向きな考えから「よし、やろう!」という意識へと変わった印象があります。
芳地さんのコーチングでは、後ろ向きの発想を「どのようにすれば~できるか」というフレーズに置き換えることが重要とされます。遅れること前提のスケジューリングでなく、オンタイムで物事を組み立てる習慣づけができるよう、社内コーチとしていっそうの働きかけをしていきたいです。

Q:社内コーチを始めてご自身にどのような変化がありましたか?

柳沼さん:物事の処理が早くなったと感じています。社内コーチになる前は仕事面で悩むことがけっこうあったのですが、あまり悩まなくなりました。仕事のハードルが下がった実感があります。
私自身、入社から7年が経ち(注:取材時)さまざまな場面で自分の意見をつぶされてきた経験から、自分から積極的にものを言えないもどかしさがありました。でも、「言ってはいけない真実」を言うことが重要と教わり、言いにくいと思っていたことも言って大丈夫なんだ、まずは言ってみよう、と考えを変えることができました。


Q:社内コーチとして、今後どんな成果を出していきたいですか?

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東さん:参加したことで、会社に来るのがすごく楽しくなっています。社内公募だった社内コーチに手を挙げたのも、自分自身の仕事の手詰まり感から脱却して「楽しく仕事ができるきっかけになれば」と思ったからです。今では、朝8時に出勤しても「8時か……今日は遅い出勤になってしまって残念」と心から思えるほどになりました。
社内コーチとして社員とコミュニケーションを交わしていくことで、私のように「仕事が楽しい」と思う人が1人でも多くなればと願っています。そういうマインドづくりが、コーチの役割として大切だと考えています。

社内コーチ 東 拓司さん

社内コーチ 東 拓司さん

Q:始めて、会社にどんな変化がありましたか?

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東さん:会議でよくある「できないことの言い訳」が徐々に減ってきました。Day 3、Day 4……と進むにつれ、今抱えている問題の解決策を探る内容となるのですが、最初のうちは「できないことの言い訳」、言い換えれば原因ばかりが並んでいたのです。
そのたびにすかさず、ホワイトボードに「AなのでB」と書くことを続けました。原因でなく結果にフォーカスしましょう、と。これを繰り返したことで、原因を口に出した瞬間、「あ、今『Aなので』と言っちゃったな」と気づいてもらえるようになったと感じています。

Q:社内コーチを始めてご自身にどのような変化がありましたか?

東さん:電話の時間が短くなったことが挙げられます。これまでは、決して無駄とは言いませんが、結果よりコメントの交換をすることが多かったのです。打ち合わせの場でも、結果にフォーカスしてお客様の声を拾えるようになってきましたし、私からお客様に報告する際も「無駄なことを言ってないかな」と自問自答しながらコミュニケーションするようになっています。
社内コーチとして関わるときは、「事情を考慮しない」「一歩引いて客観的に見る」というのが鉄則です。そういう視点でコミュニケーションできるようになったのは大きな収穫だと感じていますし、仕事そのものが楽しくなってきた実感があります。


Q:社内コーチとして、今後どんな成果を出していきたいですか?

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東さん:「言い訳をしない」「結果にフォーカスする」「問題にしっかり向き合い、解決の方向らしきものにいったん向かっていく」……こうした姿勢を、社員1人1人が無意識のうちに自発的にできるように導いていきたいです。
社内コーチの仕事はすごく楽しくて、永遠にやっていたい思いはあります。でも、その仕事がなくなったとき、この会社は大きな前進を遂げていることになります。そういう日が1日でも早く来るよう願っています。

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